フリーランスが増えすぎた理由とは?独立はやめた方がいいタイプやフリーランスのデメリット!対策も紹介

最終更新日:2023/09/12
作成日:2022/09/16

 

現在「フリーランスが増えすぎ」「フリーランスはやめた方がいいのでは」「末路が悲惨」フリーランスに関するネガティブな意見がありますが、対策はないのでしょうか?「フリーランス増えすぎ」という噂の真偽とその背景、特別なスキルや資格がない人でも独立を後悔しないためにすべき準備について解説します。

 

目次

 

■フリーランス増えすぎは本当?

 

■フリーランスが増えた背景
(1)働き方の多様化
(2)副業を解禁する企業の増加
(3)フリーランス向けサービスの充実
(4)DX推進に伴うIT人材への需要増
(5)リモートワークの普及

 

■「フリーランスやめとけ」といわれる理由
(1)労働法が適用されない
(2)税務や保険の対応が負担
(3)額面が同じでも手取りは会社員より低い
(4)ローンやカードの審査が通りにくい
(5)仕事がなく生活できないフリーランスも

 

■独立はやめた方がいいフリーランスに向かないタイプとは?
(1)プライドが高い
(2)面倒なことはやらない
(3)タイムマネジメントが苦手
(4)尖ったスキルなし・資格なし
(5)不安感が強い

 

■フリーランスを目指す人が多い理由とフリーランスのメリット
(1)自分に合った仕事を選べる
(2)ライフステージに合った働き方ができる
(3)スキルや成果によって高い報酬が得られる

 

■フリーランスを後悔しないためにすべき独立準備
(1)事業計画を立てる
(2)独立資金をためる
(3)副業でフリーランスとして実績を積む
(4)人脈やフリーランスコミュニティを大事にする
(5)税金や保険について学ぶ
(6)開業届とともに青色申告承認申請書を出す

 

■フリーランスでしっかり稼ぐための対策
(1)自己管理の徹底
(2)セルフブランディングで同業者と差別化
(3)営業先や営業ツールを増やす
(4)人間関係の悩みは割り切る覚悟を
(5)相談相手を見つけておく
(6)エージェントに登録を

 

■フリーランス増えすぎは本当!勝ち抜くための努力が重要

 

 

フリーランス増えすぎは本当?

街の風景

 

20年ほど前は、200万人程度といわれていたフリーランス人口ですが「2010年代後半以降、急激に増えた」といわれています。株式会社ランサーズによる「フリーランス実態調査 2021」では「インターネットを活用した、フリーランス活動を営む人口は2021年に1670万人になった」と発表しています。2020年に行なわれた同様の調査と比べると、1年のうちに600万人以上がフリーランス市場に参入したことが分かります。

 

また、一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会が発表した「フリーランス白書 2022」によると、アンケートの回答者1254人の1/4にあたるフリーランス人材が、「開業後の期間は2年以内である」と答えています。つまり、この2年の間にそれだけフリーランスとして独立・起業した人材が増えたということです。「フリーランス増えすぎ」は「多くの人が感覚的に捉えているもの」ではなく現実のものといえるでしょう。

 

出典:ランサーズ株式会社 フリーランス実態調査 2021

出典:一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会「フリーランス白書 2022」

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フリーランスが増えた背景

フリーランス

 

なぜ、これほど短期間にフリーランスが増えたのでしょうか?近年、フリーランス人材が急増した背景について見ていきましょう。

(1)働き方の多様化

2018年に制定された「働き方改革関連法」により、現在国をあげて、さまざまな働き方が推進されています。働き方改革は、少子高齢化による働き世代減少といった国の課題や、育児や介護と仕事を両立させたいといったニーズの解決を目指して制定された法案です。具体的な提案として「労働時間法制の見直し」「雇用形態に関わらない公正な待遇の確保」などが求められています。

 

長年、日本では「正規雇用での長時間就労」がベストな働き方だとされていました。働き方改革法案により、多様な働き方が認められる世の中へと変わりつつあります。それにより「フリーランスという働き方へのハードルが下がり、フリーランス人材が増えた」ことが、フリーランス人材が短期間で増えすぎた一因といわれています。

(2)副業を解禁する企業の増加

働き方改革関連法の制定と時期を同じくして、厚生労働省が2018年に「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を発表しました。このガイドラインは、企業や働く人に向けて、現行の法律のもとで副業に取り組むポイントを解説したものです。2022年7月には改訂版も発表され「閣議においても労働者の多様なキャリア形成を促進する観点等から、副業・兼業の拡大・促進に取り組んでいくことが決定された」と明記しています。

 

このガイドライン発表を受けて、それまで社員に副業を禁止していた企業でも解禁するケースが増えています。副業をする会社員が増えたことで、フリーランス人材が急激に増えたように見えている可能性があります。「フリーランス白書 2022」でも、アンケート回答者の9.4%が副業人材だと発表されました。

 

「副業人材をフリーランスとするのか」の線引きについてはさまざまな意見がありますが、副業で得た収入額が年間20万円を超す場合は確定申告が必要です。月額にして1万7千円弱以上を副業でコンスタントに稼げそうな場合は、あらかじめ税務署に開業届と青色申告申請書を出し、副業にかかる経費を控除申請するのが一般的です。この届出により副業人材も税務上は個人事業主となり、フリーランスとみなされる人材が増えています。

(3)フリーランス向けサービスの充実

フリーランス向けの仕事を獲得するプラットフォームについては、ランサーズやクラウドワークスが一般的でしたが、ココナラやタイムチケットといった「スキマ時間を売る」サービスも充実してきています。こうしたサービスが増えたことで、フリーランスとして仕事を得やすい環境も整いつつあります。結果としてフリーランス人材の増加につながっているといえるでしょう。

 

また、フリーランスの人が職場として活用できる、コワーキングスペースが全国的に増えています。事業所住所として登録が可能だったり、スペースに集うフリーランス同士で交流が持てたりといった特典もあり、利用者数を伸ばしています。こうした動きが世に知られることにより「フリーランスは特別な働き方」といったイメージの払しょくにつながった面もあります。

 

フリーランスにとって最大の課題ともいえる確定申告や経理作業などについても、オンラインで完結するクラウド系会計ソフトなどが次々と開発され、ハードルが下がったといえるでしょう。こうしたフリーランス向けのサービスの普及と充実が、急激にフリーランスが増えた背景にあるのかもしれません。

(4)DX推進に伴うIT人材への需要増

現在、あらゆる企業が事業にDXを活用しています。日本政府も経済産業省主導でDX推進施策が発動され、レポートの取りまとめや助成金の配布など、積極的な施策をうっています。そこで危惧されているのが、DXについて必要な知見を兼ね備えた人材の少なさです。

 

IT人材の育成については、教える側・教えられる側、双方の資質や時間がかかるといった課題があり、国をあげての急務とされています。しかし、なかなか成果が出ず、IT人材の供給が需要に追いついていないのが実情です。

 

そこで、DX推進に長けた人材がフリーランスとして独立し、企業の垣根を越えて複数の企業のプロジェクトを手掛けるケースが増えています。フリーランスのITエンジニアやITコンサルタント・DXコンサルタントといったIT人材は、仕事を選べる立場にあり、経済的にも安定している状況です。企業に所属するIT人材がフリーランスとして独立するケースが後を絶ちません。

(5)リモートワークの普及

2019年末より世界的に猛威を振るうコロナウイルスの影響で、2020年から日本国内でもリモートワークが急速に普及しました。結果として、出社にこだわらない働き方が見直され、フリーランスへの注目度も上昇したと考えられます。

 

また、リモートワークにより、通勤時間がなくなったことで時間に余裕がうまれ、スキマ時間に副業を始める人材が増えたこともフリーランスが増えた要因のようです。

 

 

「フリーランスやめとけ」といわれる理由

経理作業中

 

フリーランスという働き方、もしくは本業をもちながら並行してフリーランスとしても活動する副業が、一般的になりつつあります。しかし「フリーランスはやめとけ」といった声があるのも事実です。フリーランスという働き方がネガティブに語られる原因について探ってみましょう。

 

(1)労働法が適用されない

雇用契約に基づく労働者の場合、労働法による保護の対象となりますが、業務委託契約だと労働者に含まれません。個人事業主の立場はあくまで取引先とされ「労働法が適用されない」ということです。そのため、1日8時間・週40時間以内の法定労働時間の制約がなく、有給休暇や残業の概念がありません。また、企業は業務委託契約者であるフリーランス人材に対しては賃金規制や解雇規制も問われません

 

さらに、労働保険をはじめとするセーフティーネットもフリーランスは加入できません。契約条項が法令に基づいた形であれば、企業から突然、契約解除をされても失業保険も対象外です。女性や妊娠中の女性のパートナーでも、出産・育児休暇がなく、その間収入の保障がないことなどは会社員に比べて不利な面といえます。

 

さらに、全てが自己責任となるため、後悔するような契約を結ばないように契約書の内容には注意が必要です。

(2)税務や保険の対応が負担

フリーランスの場合、個人事業主として税金や社会保険の処理を全て自分でやらなければなりません。税金に関しては、個人事業主の場合、1月から12月までの1年間の事業成績に基づいて、2月中旬から1カ月以内に確定申告をする必要があります。確定申告には、事業期間中の資金の動きを正確に記録する必要があり、かつ申告業務を怠ることはできません

 

社会保険に関しても、会社員であれば、所得額に応じて負担すべき年金保険料と健康保険料が給与から天引きされているので、自分自身で面倒な計算や申請をやる必要はありません。しかし個人事業主の場合は、自ら年金保険料と健康保険料を計算し申請をした上で、指定の出納機関に支払わなければなりません

 

また、会社員の場合、年金保険料や健康保険料は会社が半分負担してくれていますが、個人事業主では全て自己負担になるので、保険料の負担が重くなります。後悔しないように、あらかじめ国民健康保険料の算定をしておきましょう。

(3)額面が同じでも手取りは会社員より低い

フリーランスの場合、会社員時代と同等の経済的安定を得ようとすると約1.2倍の収入が必要だといわれています。理由としては、国民健康保険料や国民年金、個人事業税、消費税(現行では年間売上1000万円までは非課税)などの負担があるからです。

 

また、働く場所やパソコンなどの機器にかかる費用も実費となるため、会社員より経費が掛かります。将来受給できる年金額にも違いがあり、会社員より貯蓄を意識する必要があると考えると「会社員時代の1.5倍ほどの収入が必要だ」とする意見もあります。

(4)常に仕事があるとは限らない

業務委託の場合、契約ごとに報酬を受け取ります。経済的に安定するためには、常に仕事がある状態が望ましいですが、営業活動が得意な人やかなりの実績がある人以外は難しいのが現状です。参画中の案件があっても、本人のスキル不足やプロジェクトの中断などにより、安定的に仕事が確保できないこともあります。

 

生きていくための収入を得ることと、キャリアプランのバランスをとることも必要でしょう。特に独立したて、起業したてのスタートアップ時期は事業が軌道に乗らず、人脈も少なく案件獲得が難しいという声がよく聞かれます。

(5)ローンやカードの審査が通りにくい

フリーランスは「毎月収入に変動があるもの」として、ローンやカードの審査が厳しい場合があるようです。

 

仮に体調の悪化などから一定期間働けなかったとしても、会社員が傷病手当等で一定の収入が保証される一方、フリーランスには公的なセーフネットがありません。本人が働けなくなったら収入が途絶えてしまいます。ローンやカードの審査はフリーランスとして独立する前に済ませておく人がほとんどです。

 

独立はやめた方がいいフリーランスに向かないタイプ

 

フリーランスになる理由は人によってさまざまですが、満足いくほど仕事が得られず、生活できない人もいます。自分の覚悟や努力次第で収入やワークライフバランスの充実を図れるのがフリーランスのメリットである一方、会社員に比べてデメリットも大きく、悲惨な末路をたどる人がいるのも事実です。

 

こうした事態に陥りやすい、フリーランスに向かないタイプはどのようなタイプでしょうか?

 

(1)プライドが高い

人に頭を下げられなかったり周囲の助言に耳を傾けられなかったりするタイプの人は、フリーランスには向いていません。フリーランスにとって自分の身を守れるのは自分だけです。人に頭を下げられないタイプの人で、もめごとを起こしても解決できず、逃げる=契約を失うといった事態を繰り返す人もいます。

 

また、助言は「協力したい」「助けてあげたい」といった気持ちがあってこその意見である場合がほとんどです。耳が痛くなるような注意やすでに知識があるような情報であっても「ありがたい」と受け止める努力をしましょう。周囲に「ろくに話を聞いてくれない」と思われると必要な情報も入ってこなくなる可能性があります。

 

「人に頭を下げられない」「助言が聞けない」という特徴は、プライドが高い人に多く見られます。ただ単に繊細なタイプであっても「プライドが過剰に高い人」とみなされる可能性もあるでしょう。「頭を下げる」「助言を聞き入れる」のは一つのスキルだと捉えて取り組むのがよいかもしれません。

(2)面倒なことはやらない

フリーランスという働き方には、税務や保険の手続き・契約書類の更新・営業活動など、本来の仕事とは一見結びつかない雑務が生じます。いわば総務や法務、経理や営業といった企業で欠かせない部署を一人で担う働き方と言っても過言ではないでしょう。

 

面倒なことはやりたくない」「つい先延ばしにしてしまう」というタイプはフリーランスには向いていません。苦手な業務は人を雇ったり、外注したりする方法もありますが、それなりに経費やストレスがかかります。最終的な責任は自分にあるため、すべて丸投げできるものではないという意識も必要です。

(3)タイムマネジメントが苦手

在宅勤務で完結できる案件が増えてきましたが、勤務の方法には「ジョブ型」「時給型」「フレックス制」「常駐制」などさまざまな働き方があります。時給型や常駐型などは、フリーランスであっても会社員と同じように決められた時間に稼働しなければなりません。

 

ジョブ型やフレックス制は自分に稼働時間の裁量が認められますが、タイムマネジメント能力が求められます。仕事を先送りしたり、プライベートを優先させすぎたりすると、求められるだけの仕事をこなせない危険性があります。信用を失ったり契約自体打ち切られたりしかねないので、タイムマネジメントが苦手な人は向いていない働き方といえるでしょう。

 

複数の案件や契約、本業と副業を同時進行するパラレルワーク人材もタイムマネジメントは意識すべきです。「案件を抱えすぎない」「毎日スケジュールを確認」といった意識も必要でしょう。

(4)尖ったスキルなし・資格なし

最近、SNSなどで「特別なスキルがなくても大丈夫」といったフリーランスという働き方を促す広告などが送られてくることがあります。しかし、実際には尖ったスキルがないまま、フリーランス生活を継続するのは難しいです。

 

ただし、自分ではスキルや実績ではないと思いこんでいる特技や経歴も、求めているクライアントがいる場合があります。まずは、フリーランス向けの仕事紹介サービスやエージェントに問い合わせてみるのもよいでしょう。

 

スキルはあるけど、実績がないという人は、資格取得にチャレンジするのもおすすめです。フリーランスとして主要事業にしたい業務の関連資格があるだけで、営業の効率もぐっと上がるでしょう。資格取得者だけが登録できるコミュニティなどもあります。

(5)不安感が強い

フリーランスという働き方は、繊細過ぎるタイプ・不安感が強いタイプにもおすすめできません。責任に押しつぶされてしまったり、今後について考えすぎてしまったりする人には荷が重い働き方といえるでしょう。

 

「目の前の案件に打ち込む」「冷たくされてもあまり気にしない」「自分自身を過度に責めすぎない」という意識が大事です。不安感が強すぎると、簡単な作業も手に付かなくなったり、過剰に人と自分を比べてしまったりする事態に陥りかねません。最悪の事態を想定することは大事ですが「きっとどうにかできる」とどこかで不安を切り捨てる意識やストレスを和らげる自分にとってのご褒美を大切にしましょう。

 

 

フリーランスを目指す人が多い理由とフリーランスのメリット

フリーランスマーケター

 

フリーランスのデメリット・フリーランスに向かない人のタイプを紹介しましたが、多くの人にとっての短所や心当たりがある特徴でもあるはずです。それでもフリーランスという働き方を選ぶ人が多いのはどうしてなのでしょうか?フリーランスのメリットについて考察しましょう。

 

(1)自分に合った仕事を選べる

会社員として雇用される場合、上司または会社から割り当てられた業務をこなすのが一般的です。しかし、フリーランスの場合は、プロジェクト単位で契約を結ぶため、その仕事を受けるか否かは自分で判断できます。業務内容や契約内容によって、交渉したり断ったりという選択肢もあります。

 

「自分に見合った案件なのか」「自分のスキルやキャリアプランに合う仕事なのか」などを基に案件を選べるため、自分の強みを発揮でき、スキルを高いレベルまで磨けるような仕事や働き方を実現しやすいです。

(2)ライフステージに合った働き方ができる

フリーランスは個々のライフスタイルや家族・ライフステージの状況に応じた働き方で収入を得られることも大きなメリットです。現状の日本では、特に女性が結婚や出産でキャリアを継続できなかったり、マミートラックにはまってしまったりといったことが社会問題として懸念されています。男性・女性を問わず、介護離職してしまう人も後を絶ちません。

 

解決策の一つとしても注目を集めているのが「フリーランスという働き方」です。インターネットを活用した働き方であれば、在宅勤務やスキマ時間だけの稼働も可能なため、育児や介護に多くの時間を割かなければならない時期であっても努力次第で会社員と同じくらいか、それ以上の収入を得るフリーランス人材もいます。

(3)スキルや成果によって高い報酬が得られる

フリーランスになるメリットの一つは、報酬の高さです。スキルやキャリアにもよりますが、パフォーマンス次第で高い年収を実現できます。

 

通常、会社員は給与の伸び率や昇給のタイミングが決められているのに対し、フリーランスは、自分の裁量で仕事量や仕事内容をコントロールできます。報酬の金額も自分次第です。会社員時代には考えられないほど高額な報酬を提示されることもあります。

 

 

フリーランスを後悔しないためにすべき独立準備

フリーランス 少し暗めのイメージ

 

フリーランスに向かないタイプの人は独立しないほうがよいのでしょうか?一概にはいえませんが、しっかり準備をすることで後悔するような事態を回避できる場合もあるでしょう。フリーランスとして独立も考えている人に向けた必要な準備を紹介します。

 

(1)事業計画を立てる

フリーランスとして成功をつかむスタートラインとして、事業計画を立てましょう。計画は簡単にはまとまらないものですが「どんな顧客がいてどんな仕事で収入を得るのか?」「毎月どのぐらいの収入を見込むのか?」などは、ざっくりと思い描いておきましょう。何を主要事業にするのか、アウトラインを思い描いておくと、独立までにすべきことや必要な開業資金額などの目途がつきます

 

競争相手が少ないニッチな職業や業界を選ぶのも手ですが、在職中の職種・自分の強みやスキル・実績を活かせる仕事で独立を考える人がほとんどです。

 

中には「マーケティングが長いからコンサルティングもやってみたい」「エンジニアとして実績があるからITコンサルタントにもチャレンジしてみたい」といったキャリアチェンジやパラレルキャリアを希望する人もいます。こうした挑戦ができるのがフリーランスのメリットでもあります。

 

また、コンサルタントやエンジニア、マーケティングなどの職種でフリーランスになった場合、講演やセミナー講師、執筆業といった副業で稼ぐこともできます。経験済みの職種、これから挑戦したい職種のどちらを主要とするのか、独立・起業が漠然としているうちから考えておきましょう。

(2)独立資金をためる

職種によっては開業にさほど費用がかかりませんが、フリーランスを本業として独立開業するなら、毎月安定した収入が得られる保証はありません。しばらく仕事が少ない可能性もあるため、半年分くらいの生活資金は貯めておきたいところです。

 

また、貯金をしながら、開業助成金や補助金で利用できそうなものはないか、調査を始めましょう。こうした助成金は、独立のための資本がいくらあるかも審査要件です。しっかり独立資金を貯めている人は、計画性と経営者感覚があると評価され、独立する側に有利な条件の助成金の審査に通りやすい側面があります。

(3)副業でフリーランスとして実績を積む

独立・起業を目指すなら、主要事業としたい仕事を副業として請け負い、実績を作るのがおすすめです。スキルの向上やフリーランスになった際の人脈につながります。収入を増やす手だてにもなるので、生活費は所属企業の給与、起業資金は副業での報酬をあてるなどするのもよいでしょう。副業での収入をこのように割り振ると経営者感覚も身につきます。

 

ただし、所属している企業が副業を禁止している場合は注意が必要です。特に、開発事業やコンサルティングなどの分野は情報漏洩を疑われる可能性があります。

 

副業は、副業専門サイトや「クラウドワークス」「ランサーズ」といったクラウドソーシングサービスのプラットフォームサイトで見つけられます。また、弊社、株式会社みらいワークスのフリーコンサルタント.jpのようなマッチングエージェントで稼働率が低い案件に応募するのも一つの手です。

(4)人脈やフリーランスコミュニティを大事にする

フリーランス白書2022によると、仕事の獲得先経路の1位が「人脈(32.9%)」、2位が「過去・現在の取引先(30.9%)」です。つまり、もともと知人や友人、長期間の契約で仕事を得ている人が全体の6割を超えているということです。営業などの新規開拓に注力することも大事ですが、すでにある人脈を大事にすることも同じくらい重要だといえます。

 

また、フリーランスは「孤独」というイメージもあります。情報交換をしたり横のつながりを作ったりするには最適なフリーランス同士で交流できるコミュニティが存在します。仕事がない時や悩みがある時に相談できる場所があるというのは大きいです。主要事業としたい職種の人が多く加入するコミュニティにはぜひ参加しておきましょう。

 

主要事業にまつわるセミナーに参加する、SNSで仲間を募るなどの方法もあります。古い友人や知人に連絡を取ってみるというのもおすすめです。

(5)税金や保険について学ぶ

独立・起業すると、会社員時代には考えられないほど税金や保険についての知識が必要になります。会社員時代は、年に一度源泉徴収で調整されていた税金も、フリーランスは自分で申告して支払う義務が生じます。

 

保険も、法人化するなどして社会保険組合に入らない限りは、国民健康保険と国民年金基金に加入するのが一般的です。フリーランスだと、公的な労働保険には加入が認められず、労災も特別加入の手続きをとる必要があります。

 

確定申告なども自分でやるとなるとそれなりに時間がかかるものです。節税や何かあった場合に備えて加入する民間の保険などについても、起業前からしっかり調査し、もし金銭的に余裕があれば、税理士事務所などと契約するのもよいでしょう。

(6)開業届とともに青色申告承認申請書を出す

個人事業主になるには、税務署への開業届の提出が必須です。開業届は「個人事業の開業・廃業等届出書」が正式名称です。事業開始日から1ヶ月以内の提出が原則ですが、もし忘れてしまったり諸事情により提出が遅れたりしても特に罰則はありません。

 

また、開業届の他にも、確定申告時に青色申告をするのであれば「青色申告承認申請書」が必要です。新規開業の場合は、事業開始日から2ヶ月以内に提出する必要があります。青色申告にすると、白色申告にくらべ手間は増えますが、最大65万円の特別控除や事業にかかる費用を経費として申告できるなど節税効果があります。

 

青色申告承認申請には下記が必要です。すべて税務署で入手できます。

    • 青色申告承認申請書
      所得税・消費税の納税地の変更に関する届出書
      青色専従者給与に関する届出書
      源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書

 

 

 

フリーランスでしっかり稼ぐための対策

未経験者・SE

 

「増えすぎ」ともいわれるフリーランスとして、起業当初からしっかり稼ぐためには、起業前だけでなく起業後にも努力が必要です。フリーランスデビューからしっかり稼ぐための対策を紹介します。

 

(1)自己管理の徹底

フリーランスに大切なのは「自分自身が資本」という意識です。自己管理では「プライベートと仕事の時間配分を見直す」「やりたくないこと・面倒なことを先送りしない」「用事ややらなくてはならないことを毎日書き出す」などを実践しましょう。

 

体調管理では「睡眠時間の確保」「規則正しい生活」「栄養バランス」「適度な運動」なども大切です。こうした日々の積み重ねで、健康状態が維持できます。

 

掃除や洗濯といった一見仕事とは関係がない家事も、生活や心の安定、健康には重要です。自己管理・体調管理がおろそかだと、体調不良で仕事に穴をあけてしまったり、ストレスを感じやすくなったりします。自己管理と体調管理は徹底しましょう。

(2)セルフブランディングで同業者と差別化

フリーランスとして独立する主要事業に必要なスキルと資格の取得は、起業前にしっかり終わらせておきましょう。こうした自己研鑽は多くのフリーランス人材の中から、自分を差別化する「セルフブランディング」につながります。

 

名刺やポートフォリオ・職務経歴書の見直しを定期的に行うことも大切です。自己アピールできる実績などの整理にもつながるでしょう。

 

また、セルフブランディングにはマーケティング戦略立案に似た側面があります。フリーランスとして独立後の営業活動などにも役立つはずです。さらに、現在の自分の市場価値に足りないもの、これからやるべきことが見えてくるでしょう。

(3)営業先や営業ツールを増やす

少し古いデータですが、2018年に内閣官房日本経済再生総合事務局が発表したフリーランス実態調査結果によると、取引社数について「1社」と答えたフリーランスが4割を占めています。取引先が1社というのは、安定した取引ができる間はストレスが少なく働きやすい状況かもしれませんが、倒産や事業縮小をする企業が相次ぐ現状の中、心もとないデータといえるでしょう。

 

営業先の新規開拓をしたり、仕事とフリーランス人材のマッチングプラットフォームを活用したりして取引先を増やす意識が必要です。特技やスキルを生かして複数のビジネスに取り組むのもおすすめです。

出典:内閣官房日本経済再生総合事務局 フリーランス実態調査結果

(4)人間関係の悩みは割り切る覚悟を

フリーランスになりたい理由が「会社や組織の煩わしい人間関係から解放されたいから」という人もいるでしょう。しかし、先にも述べたように、フリーランスは自分自身ですべての責任を負う必要があるため、性格的に合わない人間とやり取りしたり、腑に落ちない場合でも頭を下げたりする機会も出てきます。会社のため、組織のためではなく、自分自身のために人間関係の悩みは割り切る覚悟が必要です。

 

また、会社などの組織に所属しているときより、仕事で関わる人に感謝を言葉にして伝える心がけも必要です。「割り切り」と「感謝」はフリーランスとして仕事を獲得・継続するためにも、自分自身が余計なストレスを抱えないようにするためにも意識しましょう。

(5)相談相手を見つけておく

悩みや不安はもちろん、税金や事務手続きなどを相談できる相手がいることで気持ちが軽くなることもあります。パートナーや友人はもちろん、フリーランスのコミュニティに顔を出し、相談相手を見つけましょう。税務署やお住まいの地域の法律相談などで、税務や法務に詳しい人に相談するのもいいでしょう。

 

一般的に、多くの人が自分の悩み事や知らないことに対して「こんなことで悩んでいるのは自分だけかも」「知らないと笑われるかも」と考えがちです。しかし、実際には誰もが同じことで悩んだ経験があったり、その立場になるまで知らないことだったりします。どんなことでも打ち明ける勇気が必要かもしれません。

(6)エージェントに登録を

フリーランスとして独立前に、フリーランス人材向けのマッチングエージェントに登録しておきましょう。職種によって登録すべきマッチングサービスは異なるので、事前に調査も必要です。

 

フリーランスのコンサルタントとして起業を目指す人は、独立前から伴走し、アドバイスや案件の提案を行う弊社、株式会社みらいワークスの「フリーコンサルタント.jp」がおすすめです。

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フリーランス増えすぎは本当!勝ち抜くための努力が重要

フリーランス人材

 

近年、フリーランス人口が急激に増えたのは、統計もあり事実です。さまざまな働き方が認められるようになったことや、副業人材が増えフリーランスの幅が広がったことなどが主な理由ですが、先行き不透明な情勢やいまだに解決できない女性の社会進出や少子化・介護をめぐる問題も関係しています。

 

しかし「増えすぎだから」といって、トライする前にあきらめる必要はありません。しっかり準備をして起業後も努力を続けることで未来は開けていきます。

 

(株式会社みらいワークス FreeConsultant.jp編集部)

 

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